公益財団法人 諏訪圏学校理科教育振興基金 ー略してー「理振」 について
当基金(略称「理振」)は諏訪清陵高等学校の理科教育に関する研究を奨励援助し、その振興に寄与することを目的として、昭和38年11月に「財団法人長野県諏訪清陵高等学校理科教育振興基金」として発足、この種の財団法人の設立は、県下で初めてのことであった。
この基金が設立されることとなったきっかけは、昭和38年当時、諏訪精工舎代表取締役であった山崎久夫氏が、理科教育の振興に役立てて欲しいと、諏訪清陵高校に500万円の寄付を申し入れたことにあった。
山崎氏は「私は少年のころ諏訪中学に進学したいと夢にまで見てきたが、家が貧しくその夢は実現できなかった。しかし、私の夢は、子どもたちを諏訪清陵高校へ進学させることで叶えられ感謝している。そのお礼の意味を含めて、500万円を寄付したいので、理科教育の施設の充実にあてて欲しい」というものであった。
そこで、学校としては、財団法人の設立によって、山崎氏(昭和38年4月に急逝したため、長男の山崎壮一氏が、亡父の意志を継ぎ改めて500万円の寄付をしていただいた)の好意に応えることとし、設立準備委員会を立ち上げ、同年11月14日「理振」として県教育委員会より認可を受けた。
設立趣意書によれば、「 ~前略~ 職員生徒の理科に関する実験・観察の資材を豊かにして、その研究を助成し、もって清陵高校における理科教育、ひいては科学教育の振興とその水準の向上に一段と寄与するとともに、将来有為な科学者、技術者の輩出を期待するものであります。」との目標を掲げ、基本財産から生まれる果実、即ち利息によって、研究の助成、資材の購入、研究成果の刊行などを行うことになっている。
しかし、「理振」は発足したが運用財産が乏しいため、基本財産の造成のための寄付を広く法人、団体、一般個人に呼びかけた結果、当初516万円で発足した基金が、昭和53年3月には、2,789万円となり、15の研究に29万1千円、資材助成に168万7千円、印刷などに9万6千円を助成することができた。
その後、その対象を諏訪地域等の中学校へと広げ、公益法人制度改革により、平成23年4月1日「公益財団法人 諏訪圏学校理科教育振興基金」として認可を受けた。
また、平成26年度より中学校に対する助成を順番制から応募制に変更し、より積極的な当基金の利用を中学校に働きかけている。
なお、平成29年度は、高等学校に対して80万円、中学校に対し62万4千円の助成事業を実施した。
そして、現在(平成30年3月末)は基金が5,066万円となり、中高一貫校(諏訪清陵高等学校)の理科系クラブへの研究助成、資材助成を行うとともに、諏訪地域の中学校(17校)に対し理科教育等の振興のための助成金の支給を実施している。
また、助成事業の成果は、毎年「理科研究収録」としてまとめ、その足跡を残すことが出来てきている。